医療事務あれこれ

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労災で入院中に他医療機関を受診した場合の算定ルール

健康保険では入院中に他院を受診すると、入院基本料が減算されたり他院での算定に制限がありますよね。

しかし、労災保険ではこのルールが適用されないんです。

 

 

「医療関係質疑応答集」の13 入院基本料より

Q12 入院中の患者の他医療機関への受診に係る健康保険の取扱いとして、入院している患者が他の保険医療機関で治療を受けた場合には、入院医療機関の入院料等の基本点数を10%、20%又は40%を控除した点数により算定することとなっているが、労災保険において、この取扱いは適用されるのか。


A.労災保険においては、入院中の被災労働者の治療に関して、他医療機関での診療が必要となり、当該入院中の被災労働者が他医療機関を受診した場合(当該入院医療機関にて診療を行うことができない専門的な診療が必要となった場合等のやむを得ない場合に限る。)は、健康保険の取扱いによらず、入院医療機関は入院料の基本点数を控除せず全額算定できる。なお、この場合において、医療機関は当該診療に係る費用(「医学管理等」、「投薬」、「注射」等)を健康保険の取扱いによらず全額算定できる。

https://healthnet.jp/wp-content/uploads/2016/10/4d88cf15bffdb285c0aafbd8fba2b7b3.pdf

 (68ページ)

 

このように、入院医療機関では入院基本料を減算する必要がなく入院基本料の全額算定が可能です。

また、他医療機関でも診療の算定に制限がなく実施した診療の全額算定が可能となっています。

 

 

入院医療機関と他医療機関 両方の立場から思うこと

入院医療機関の立場からすると入院基本料の減算がないので、健康保険の場合と違って収入が減らないのが嬉しいですよね。

 

そして他医療機関の立場からすると、外来での計算が簡単になるのが有難いです。外来で算定できるものと算定できないものとの確認は結構面倒なんです。その上、算定できないものを実施せざるを得ない場合は、相手方の入院医療機関との協議も必要になってきて大変です。

 

 

患者さんにとっては

入院中の他医療機関受診にデメリットがあると、受診や診療を控えることにつながりかねません。

必要な時にデメリットの心配なく他医療機関を受診してもらうことができる労災保険のこのルールの方が、患者さんにとってもメリットがあると思います。

 

※ちなみに、自賠責保険診療費算定基準(新基準)は労災準拠なので、新基準の方でも同じこのルールが適用されます。(減算等は不要です)