選定療養となる180日を超える入院とは?(180日超え入院の計算方法)
同一傷病による通算対象入院料を算定する期間が、患者単位で通算して180日を超えると、入院基本料(通算対象入院料の基本点数)が85%相当の点数へ減点となります。
残りの15%相当分は選定療養として患者さんの全額自己負担となり、病院は患者さんから自費でもらうことになります。
ただし、患者さんが特定の状態等に該当する場合は対象外となります。
以上が選定療養となる180日を超える入院についての概要です。
なかなか複雑だし難しい・・・
自分の理解を深めるためにも、この制度について整理していきたいと思います。
目次
- 1.通算対象入院料とは?
- 2.180日超えの入院における入院期間の計算方法
- 3. 対象から除外される場合
- 4.180日超えの入院における入院基本料等の計算方法
- 5.控除した入院基本料(通算対象入院料の基本点数)の15%相当分は誰が負担する?
- 6.180日を超える入院に関する規定
1.通算対象入院料とは?
通算対象入院料についてはこちらにまとめました。
iryoujimuarekore.hatenablog.com
2.180日超えの入院における入院期間の計算方法
※この項で言う入院期間とはすべて通算対象入院料を算定した期間です。
(1)同一傷病による入院期間を通算する。(異なる傷病による入院期間は通算しない)
(2)同一傷病による入院であれば他医療機関の入院期間も通算する。(医療機関ごとではなく患者ごとに通算する)
(3)同一傷病による入院であっても、その傷病が一旦治癒し、又は治癒に近い状態になった後に入院した場合、前回までの入院期間はリセットされて今回の入院期間から通算する。
(4)退院の日から起算して3月以上(悪性腫瘍、指定難病、特定疾患に罹患している患者は1月以上)、同一傷病について、いずれの保険医療機関に入院することなく経過した後に入院した場合、前回までの入院期間はリセットされて今回の入院期間から通算する。
(5)同一の保険医療機関内の介護療養病床等に3月以上の期間入院した場合、前回までの入院期間はリセットされる。当該介護療養病床等から通算対象入院料を算定する病棟に転棟した場合における入院期間は、当該転棟の日から起算して計算する。
3. 対象から除外される場合
(1)難病や重症の状態等にある場合
(2)急性増悪のため転棟した日、または急性増悪の日から30日間
詳細についてはリンク先の参照をお願いします。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000203027.pdf
↑こちらの23ページから27ページにある(6) と(7) です。
4.180日超えの入院における入院基本料等の計算方法
(1)入院基本料(通算対象入院料の基本点数)の15%を控除する。(15%の計算に加算部分は含めない。入院基本料のみ。)
(2)控除する点数に1点未満の端数があるときは、小数点以下第一位を四捨五入して計算する。
(3)入院期間(通算対象入院料を算定した期間)が他の医療機関からの通算となる場合であっても、入院基本料の初期加算は医療機関ごとに算定する。
(4)具体的な計算例
【一般病棟】地域一般入院料2 1,121点の場合
1,121点×15%=168.15点 ⇒ 小数点以下第一位を四捨五入して168点
よって168点を控除する。
5.控除した入院基本料(通算対象入院料の基本点数)の15%相当分は誰が負担する?
選定療養として患者さんの全額自己負担となり、病院は患者さんから自費でもらうことができます。
180日超え入院における患者さんの全額自己負担分(特別の料金)に関する規定はこちら↓
(9) 特別の料金については、その徴収の対象となる療養に要するものとして社会的にみて妥当適切な範囲の額とし、通算対象入院料の基本点数の100分の15に相当する点数をもとに計算される額を標準とする。
規定ではこのようになっているので、標準を大きく上回ったりしない限り、病院ごとに金額を決めて良いってことですよね。
また、選定療養は消費税の対象です。
上の方にある【一般病棟】地域一般入院料2 1,121点の場合だと例えば
1日につき 『1,680円+消費税』 を患者さんから自費でもらうことができます。
6.180日を超える入院に関する規定
今回の記事は以下のリンク先の22ページから27ページに記載されている「20 入院期間が180日を超える入院に関する事項」をもとに書きました。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000203027.pdf