医療機関の職員が自分の医療機関で診療を受けた際に、一部負担金を支払わないのは違法です
医療機関(病院・診療所)の職員やその家族がその医療機関を受診した際に、一部負担金の支払いが免除される所があると聞いたことがあります。
福利厚生の一つとして、こうしたことを行っているみたいですね。
でも実はこれ、違法なんです。
1.何の法律に違反するのか?
何の法律に違反しているかというと、健康保険法74条と国民健康保険法42条です。
健康保険法74条
1項 (略)保険医療機関又は保険薬局から療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、(略)一部負担金として、当該保険医療機関又は保険薬局に支払わなければならない。
国民健康保険法42条
1 項 保険医療機関等について療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、(略)一部負担金として、当該保険医療機関等に支払わなければならない。
2項 保険医療機関等は、前項の一部負担金(略)の支払を受けるべきものとし(略)
このように 健康保険を使った診療では、患者(療養の給付を受ける者)は一部負担金を支払わなければならないし、医療機関は一部負担金の支払いを受けなければならない、と書いてあります。
何でこんなことをわざわざ法律で定めるかというと、一部負担金の支払いがなければ、必要以上の受診が起こるからだと思います。
医療費の自己負担が無料だと、医療機関に行くほどのない症状でも受診してしまうということが頻発しそうですよね。
また、医療機関にとっても必要以上に受診の回数が増えれば、一部負担金なしの7割の収入でも不当に儲けられることになります。
2.交通事故で健康保険を使う場合
交通事故で健康保険を使う場合に、保険会社が一部負担金を患者ではなく、保険会社に一括して請求するように頼んでくる事があると思います。
これも、上に書いた通り違法です。
交通事故でも健康保険を使うなら、被害者であっても患者(療養の給付を受ける者)が一部負担金を支払わなければなりません。
正しい手順としては、まずは患者が一部負担金を医療機関に支払い、後からその分を加害者(保険会社)へ請求します。
3.厚生局の集団指導
先日、厚生局の集団指導がありました。
その資料の中に、職員等に一部負担金の減免をしてならないということが書いてあったのです。
それで今回、記事にしてみました。
厚生局がこうした指導をするという事は、訪問調査等で一部負担金についてもチェックするかもしれないということですよね。
ぜひ適切な処理を!
4.まとめ
・職員やその家族だからといって、一部負担金を減免してはならない。
・減免の禁止は法に定められている。
・交通事故で健康保険を使用する際も、同様に患者から一部負担金を徴収しなければならない。
・一部負担金の受領については、厚生局の調査対象になるかもしれない。