労災や自費(交通事故)で入院中に私病に対して特別食を提供する場合の算定方法
労災や自費(交通事故等)で入院中に私病の糖尿病等に対して特別食を提供する場合があります。
そういった場合に特別食加算の算定はどうすればいいでしょうか。
1.診療点数早見表 2016年4月版1387ページ・(平10.3.27 保険発43、老企9・庁保険発7)通知より
労働災害による疾病の治療のため入院している患者が、入院中、労災保険が適用されない業務外の疾病(私傷病)を併発して、その治療のために健康保険等から特別食による食事療養に係る給付を受けた場合など、現に食事療養に要した費用の額が標準負担額に満たない場合には、当該食事療養に要した費用の額を標準負担額として徴収すべき旨を明確化すること。
結論としては、通知にあるように「1食につき76円(食事療養に要した費用の額)を患者さんから徴収する」です。
どうしてこの結論になるのか書いていきます。
2.まずは入院時食事療養費と標準負担額について
入院中の食事療養に係る費用は健康保険等では次のように計算します。
(食事療養に要した費用の額)-(標準負担額)=(入院時食事療養費)
食事療養に要した費用の額のうち、医療機関は患者さんの負担額である標準負担額を超える金額を入院時食事療養費として保険請求することができます。
3.食事療養に要した費用の額が特別食加算の金額(1食76円)だけの場合
労災等で入院中に私病に対して特別食を提供した場合、食事療養の本体部分は労災等から給付さます。そのため健康保険等における食事療養に要した費用の額は特別食加算の金額(1食76円)だけになります。
標準負担額は最低でも1食につき100円なので、この場合に標準負担額を超える金額は0円です。
したがって、健康保険等に請求する金額は0円(健康保険等には請求しない)、患者さんに請求する金額が1食につき76円となります。
4. 実費(自由診療)として計上?
上の通知にあるように、特別食の費用は標準負担額として徴収して計上してください。
実費(自由診療)として計上しないでください。
何故かというと、標準負担額なら社会保険診療に係るため消費税が発生しないからです。
実費(自由診療)として計上すると、医療機関はその分の消費税を納めることになります。
5.まとめ
労災や自費(交通事故)で入院中に私病に対して特別食を提供する場合は、健康保険等における食事療養に要した費用の額が標準負担額を超えることはない。
したがって、健康保険等には特別食加算の費用を請求せず患者さんから1食につき76円を徴収する。
その際に特別食加算の費用は標準負担額として計上する。