指ごとに算定できる手術
手術の通則14・通知(4)に「指に係る同一手術野の範囲と算定方法について」記載があります。
ここを何回も読むんですけど難しい!
まずはここにある指ごとに算定できる手術を整理したいと思います。
目次
同一手術野の通則
手術 通則14より
14 同一手術野又は同一病巣につき、2以上の手術を同時に行った場合の費用の算定は、主たる 手術の所定点数のみにより算定する。
通則14にあるように、原則として同一手術野に2以上の手術を同時に行っても、主たる(1つの)手術しか算定できません。
しかし、第1指から第5指までを別の手術野とする手術があるんです。
第1指から第5指までを別の手術野とするということは、(指ごとに手術野が別になるので)指ごとに算定できることになります。
第1指から第5指までを別の手術野とする手術(指ごとに算定できる手術)
第1指から第5指までを別の手術野とする手術(指ごとに算定できる手術)は(イ)(ロ)(ハ)の3つのグループに分かれています。
(イ)第1指から第5指まで(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含む。)のそれぞれを同一手術野とする手術
(※指全体を同一手術野とするのではなく指のそれぞれを同一手術野とするとあります。そのため指ごとに別の手術野となり指ごとに算定できます。)
- K028 腱鞘切開術(関節鏡下によるものを含む。)
- K034 腱切離・切除術(関節鏡下によるものを含む。)
- K035 腱剥離術(関節鏡下によるものを含む。)
- K037 腱縫合術
- K038 腱延長術
- K039 腱移植術(人工腱形成術を含む。)の「1」指(手、足)
- K040 腱移行術の「1」指(手、足)
- K040-2 指伸筋腱脱臼観血的整復術
- K054 骨切り術の「3」中の指(手、足)(関節リウマチの患者 に対し、関節温存を前提として中足骨短縮骨切り術を行った場合に限る。)
(ロ) 第1指から第5指まで(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含まない。) のそれぞれを同一手術野とする手術(ただし、合指症手術にあっては各指間のそれぞれを同一手術野とする。)
(※指全体を同一手術野とするのではなく指(各指間)のそれぞれを同一手術野とするとあります。そのため指(各指間)ごとに別の手術野となり指(各指間)ごとに算定できます)
- K089 爪甲除去術
- K090 ひょう疽手術
- K091 陥入爪手術
- K099 指瘢痕拘縮手術
- K100 多指症手術
- K101 合指症手術
- K102 巨指症手術
- K103 屈指症手術、斜指症手術
- 第1節手術料の項で「指(手、足)」と規定されている手術
(K039腱移植術(人工腱形成術を含む。)の「1」指(手、足)、
K040腱移行術の「1」指(手、足)、
K045骨折経皮的鋼線刺入固 定術の「3」中の指(手、足)、
K046骨折観血的手術の「3」中 の指(手、足)、
K054骨切り術の「3」中の指(手、足)(関節 リウマチの患者に対し、関節温存を前提として中足骨短縮骨切り術を行った場合に 限る。)、
K063関節脱臼観血的整復術の「3」中の指(手、足)、
K073関節内骨折観血的手術の「3」中の指(手、足)、
K080関節形成手術の「3」中の指(手、足))及び
K082人工関節 置換術の「3」中の指(手、足)を除く。)
最初に読んだ時に「除く」とある手術(K039の「1」~K082の「3」の手術)は指ごとに算定できないのかな?と思いました。
しかし良く読んでみると「除く」とは(ロ) のグループから除くという意味でした。
「除く」とある手術は(ロ) のグループには入りませんが、(イ)か(ハ)のグループに入っているので指ごとに算定できます。
(ハ) 同一指内の骨及び関節(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含む。)のそれぞれを同一手術野とする手術
(※(ハ) の手術は指ごとに算定できるだけではありません。同一指内の骨及び関節のそれぞれを同一手術野とするとあります。そのため同一指内の骨及び関節ごとに別の手術野となり同一指内の骨及び関節ごとに算定できます。)
- K045 骨折経皮的鋼線刺入固定術の「3」中の指(手、足)
- K046 骨折観血的手術の「3」中の指(手、足)
- K063 関節脱臼観血的整復術の「3」中の指(手、足)
- K073 関節内骨折観血的手術の「3」中の指(手、足)
- K078 観血的関節固定術の「3」中の指(手、足)
- K080 関節形成手術の「3」中の指(手、足)
- K082 人工関節置換術の「3」中の指(手、足)
- K082-3 人工関節再置換術の「3」中の指(手、足)
例えば・・・①
K000 創傷処理やK044 骨折非観血的整復術は(イ)(ロ)(ハ)のどのグループにも入ってません。つまり、指ごとに算定できる手術ではありません。
右手の第2指、第3指、第4指に同時にK000 創傷処理(縫合)〈又はK044 骨折非観血的整復術(徒手整復)〉を実施したとしても、創傷処理(又は骨折非観血的整復術)×1回でしか算定できません。
しかし、(イ)のグループに入っているK028 腱鞘切開術を右手の第2指、第3指、第4指に同時に実施した場合は腱鞘切開術×3回で算定できます。
例えば・・・②
指ごとに算定できる手術の「指」とは手の指のことだけではありません。
(イ)(ロ)(ハ)のグループ分けに中足部や中足骨が使われていることからも分かるように、足の指についても指ごとに算定できる手術のルールが適用されます。
ですから、(ハ)のグループに入っているK046骨折観血的手術を右足の第4指(趾)、第5指(趾)に同時に実施した場合は骨折観血的手術×2回で算定できます。