血液型検査〈ABO型、Rh(D)型〉が減点査定
術前検査として実施していた血液型検査〈ABO血液型とRh(D)血液型〉が減点になりました。
D011の1に区分されるABO血液型検査とRh(D)血液型検査はそれぞれ21点なので、合計で42点の減点です。
減点理由は過去にも当院で同じ患者に同じ血液型検査を実施していたからです。
血液型が変わることはほぼないですから、2回以上実施したら減点されるのは当然ですよね。
確認が足りませんでした。
しかし、今回減点された検査は平成29年9月に実施していて、前回は平成28年3月に実施していたので、1年半以上もさかのぼってチェックされていたわけです。
恐るべし。
下船後3月で入院した場合の食事代
船員保険の下船後3月で診療を受ける際に自己負担はないですよね。
下船後3月で入院となった場合も診療に対してはもちろん自己負担はないですが、食事代はどうなるかご存知ですか?
これについて一般財団法人船員保険会のサイトに説明がありました。
12ページの下の方にある入院時食事療養費の部分です。
https://www.sempos.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/03/kyuhu2010.pdf
●病気・けがで保険医療機関に入院して、食事の給付を受けたとき
●本人(下船後3月の療養)=全額給付となり自己負担はありません。
(※原文の一部を省略)
というわけで、食事療養についても全額給付となるので自己負担はありません。
実際に食事の自己負担なしで保険請求を行ったことがありますが、返戻や査定等はなかったです。
うちで使っているレセコンは自動では食事の自己負担をなしにしてくれなかったので、手入力で修正して保険請求しました!
補足
「船員保険法の第六一条」にも下船後3月で入院した場合に食事の自己負担がない事が書いてあります。
2 入院時食事療養費の額は、当該食事療養につき健康保険法第八十五条第二項の規定による厚生労働大臣が定める基準の例により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額。以下「入院時食事療養費算定額」という。)から食事療養標準負担額(同項に規定する食事療養標準負担額をいう。以下同じ。)を控除した額とする。
3 前項の規定にかかわらず、下船後の療養補償に相当する入院時食事療養費の額については、入院時食事療養費算定額とする。
2項では入院時食事療養費の額=入院時食事療養費算定額-食事療養標準負担額
としています。
しかし、3項では下船後の療養補償(下船後3月) の場合は入院時食事療養費の額=入院時食事療養費算定額(食事に係る費用を全額給付する)としています。
そのため下船後3月の場合は食事療養標準負担額(食事の自己負担額)は0円(自己負担なし)になります。
指ごとに算定できる手術
手術の通則14・通知(4)に「指に係る同一手術野の範囲と算定方法について」記載があります。
ここを何回も読むんですけど難しい!
まずはここにある指ごとに算定できる手術を整理したいと思います。
目次
同一手術野の通則
手術 通則14より
14 同一手術野又は同一病巣につき、2以上の手術を同時に行った場合の費用の算定は、主たる 手術の所定点数のみにより算定する。
通則14にあるように、原則として同一手術野に2以上の手術を同時に行っても、主たる(1つの)手術しか算定できません。
しかし、第1指から第5指までを別の手術野とする手術があるんです。
第1指から第5指までを別の手術野とするということは、(指ごとに手術野が別になるので)指ごとに算定できることになります。
第1指から第5指までを別の手術野とする手術(指ごとに算定できる手術)
第1指から第5指までを別の手術野とする手術(指ごとに算定できる手術)は(イ)(ロ)(ハ)の3つのグループに分かれています。
(イ)第1指から第5指まで(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含む。)のそれぞれを同一手術野とする手術
(※指全体を同一手術野とするのではなく指のそれぞれを同一手術野とするとあります。そのため指ごとに別の手術野となり指ごとに算定できます。)
- K028 腱鞘切開術(関節鏡下によるものを含む。)
- K034 腱切離・切除術(関節鏡下によるものを含む。)
- K035 腱剥離術(関節鏡下によるものを含む。)
- K037 腱縫合術
- K038 腱延長術
- K039 腱移植術(人工腱形成術を含む。)の「1」指(手、足)
- K040 腱移行術の「1」指(手、足)
- K040-2 指伸筋腱脱臼観血的整復術
- K054 骨切り術の「3」中の指(手、足)(関節リウマチの患者 に対し、関節温存を前提として中足骨短縮骨切り術を行った場合に限る。)
(ロ) 第1指から第5指まで(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含まない。) のそれぞれを同一手術野とする手術(ただし、合指症手術にあっては各指間のそれぞれを同一手術野とする。)
(※指全体を同一手術野とするのではなく指(各指間)のそれぞれを同一手術野とするとあります。そのため指(各指間)ごとに別の手術野となり指(各指間)ごとに算定できます)
- K089 爪甲除去術
- K090 ひょう疽手術
- K091 陥入爪手術
- K099 指瘢痕拘縮手術
- K100 多指症手術
- K101 合指症手術
- K102 巨指症手術
- K103 屈指症手術、斜指症手術
- 第1節手術料の項で「指(手、足)」と規定されている手術
(K039腱移植術(人工腱形成術を含む。)の「1」指(手、足)、
K040腱移行術の「1」指(手、足)、
K045骨折経皮的鋼線刺入固 定術の「3」中の指(手、足)、
K046骨折観血的手術の「3」中 の指(手、足)、
K054骨切り術の「3」中の指(手、足)(関節 リウマチの患者に対し、関節温存を前提として中足骨短縮骨切り術を行った場合に 限る。)、
K063関節脱臼観血的整復術の「3」中の指(手、足)、
K073関節内骨折観血的手術の「3」中の指(手、足)、
K080関節形成手術の「3」中の指(手、足))及び
K082人工関節 置換術の「3」中の指(手、足)を除く。)
最初に読んだ時に「除く」とある手術(K039の「1」~K082の「3」の手術)は指ごとに算定できないのかな?と思いました。
しかし良く読んでみると「除く」とは(ロ) のグループから除くという意味でした。
「除く」とある手術は(ロ) のグループには入りませんが、(イ)か(ハ)のグループに入っているので指ごとに算定できます。
(ハ) 同一指内の骨及び関節(中手部・中足部若しくは中手骨・中足骨を含む。)のそれぞれを同一手術野とする手術
(※(ハ) の手術は指ごとに算定できるだけではありません。同一指内の骨及び関節のそれぞれを同一手術野とするとあります。そのため同一指内の骨及び関節ごとに別の手術野となり同一指内の骨及び関節ごとに算定できます。)
- K045 骨折経皮的鋼線刺入固定術の「3」中の指(手、足)
- K046 骨折観血的手術の「3」中の指(手、足)
- K063 関節脱臼観血的整復術の「3」中の指(手、足)
- K073 関節内骨折観血的手術の「3」中の指(手、足)
- K078 観血的関節固定術の「3」中の指(手、足)
- K080 関節形成手術の「3」中の指(手、足)
- K082 人工関節置換術の「3」中の指(手、足)
- K082-3 人工関節再置換術の「3」中の指(手、足)
例えば・・・①
K000 創傷処理やK044 骨折非観血的整復術は(イ)(ロ)(ハ)のどのグループにも入ってません。つまり、指ごとに算定できる手術ではありません。
右手の第2指、第3指、第4指に同時にK000 創傷処理(縫合)〈又はK044 骨折非観血的整復術(徒手整復)〉を実施したとしても、創傷処理(又は骨折非観血的整復術)×1回でしか算定できません。
しかし、(イ)のグループに入っているK028 腱鞘切開術を右手の第2指、第3指、第4指に同時に実施した場合は腱鞘切開術×3回で算定できます。
例えば・・・②
指ごとに算定できる手術の「指」とは手の指のことだけではありません。
(イ)(ロ)(ハ)のグループ分けに中足部や中足骨が使われていることからも分かるように、足の指についても指ごとに算定できる手術のルールが適用されます。
ですから、(ハ)のグループに入っているK046骨折観血的手術を右足の第4指(趾)、第5指(趾)に同時に実施した場合は骨折観血的手術×2回で算定できます。
退院時に在宅自己注射指導管理料は算定できる?算定できない?
退院時に在宅自己注射指導管理料は算定できます。
実際に退院時で算定して査定されたこともないんですが、初めて算定する時はすごく迷いました。
点数表に算定できないように読めてしまう部分があったからなんです。
迷いの原因となった部分
C101 在宅自己注射指導管理料
注
1 別に厚生労働大臣が定める注射薬の自己注射を行っている入院中の患者以外の患者に対して、自己注射に関する指導管理を行った場合に算定する。ただし、同 一月に第2章第6部の通則6に規定する外来化学療法加算を算定している患者については、当該管理料を算定できない。
「入院中の患者以外の 患者に対して」とあるので、退院時には算定できないのでは?と思ってしまったんです。
しかし、第1款 在宅療養指導管理料の通則を読むと、これを覆すことが書いてありました。
在宅療養指導管理料 通則より
4 入院中の患者に対して退院時に本款各区分に掲げる在宅療養指導管理料を算定すべき指導管理を行った場合においては、各区分の規定にかかわらず、当該退院の日に所定点数を算定できる。この場合において、当該退院した患者に対して行った指導管理(当該退院した日の属する月に行ったものに限る。)の費用は算定しない。
この通則には「各区分の規定にかかわらず」とあるんです。
ということは、在宅自己注射指導管理料の規定に「入院中の患者以外の患者に対して」とあっても入院中の患者に対して退院時には算定できるということですよね。
通則も必読
通則もあわせて読むと「在宅自己注射指導管理料は入院中に算定できないが、ただし退院時には算定できる。」という規定だということが分かります。
点数算定を理解するためには、該当区分の規定だけでなく通則もちゃんと読まないといけないですね。
在宅自己注射指導管理料の『導入初期加算』が減点
在宅自己注射指導管理料と導入初期加算を算定していたところ『導入初期加算』(580点)だけが減点になりました。
減点理由は同じ患者さんに対して、他院が4月前に当院と同一注射薬剤についての在宅自己注射指導管理料を算定していたからです。
簡単に言うとそういう事なんですけど、分かりにくいので自分のためにも整理しながら書いていきます!
当院と他院での算定状況
当院では平成29年7月に糖尿病に対しインスリン製剤についての在宅自己注射指導管理料と導入初期加算を算定しました。
同じ患者さんに対して他院では平成29年4月に糖尿病に対し当院と同一インスリン製剤についての在宅自己注射指導管理料を算定していました。
C101 在宅自己注射指導管理料の算定要件
注
2 初回の指導を行った日の属する月から起算して3月以内の期間に当該指導管理 を行った場合には、導入初期加算として、3月を限度として、580点を所定点数 に加算する。
3 処方の内容に変更があった場合には、注2の規定にかかわらず、当該指導を行った日の属する月から起算して1月を限度として、1回に限り導入初期加算を算定できる。
平成26年4月10日疑義解釈資料の送付について(その3)(答) 変更前の保険医療機関から通算して取り扱う。
これらの算定要件から分かる事。
・処方の内容に変更がなければ導入初期加算は初回の月から3月まで。
・導入初期加算の期間計算は医療機関が変わっても通算する。
したがって
例えば平成29年4月に、いづれかの医療機関が在宅自己注射指導管理料を算定しているとします。
そうすると、平成29年7月以降は、同一疾患に対する同一注射薬剤について在宅自己注射指導管理料を算定できたとしても、導入初期加算はどの医療機関でも算定できないということになります。
(※対象疾患や薬剤が異なる場合は別の要件にも係ってくるので確認をお願いします。)
実は・・・
他院で自己注射型のインスリン製剤を処方されていた事はカルテに書いてあったので気づいてました。他院で在宅自己注射指導管理料を算定しているだろう事も分かってました。
しかし、導入初期加算については、医療機関が変わっても通算する事を分かってなかったのです。勉強不足で誤った算定してしまい反省です。
労災や自費(交通事故)で入院中に私病に対して特別食を提供する場合の算定方法
労災や自費(交通事故等)で入院中に私病の糖尿病等に対して特別食を提供する場合があります。
そういった場合に特別食加算の算定はどうすればいいでしょうか。
1.診療点数早見表 2016年4月版1387ページ・(平10.3.27 保険発43、老企9・庁保険発7)通知より
労働災害による疾病の治療のため入院している患者が、入院中、労災保険が適用されない業務外の疾病(私傷病)を併発して、その治療のために健康保険等から特別食による食事療養に係る給付を受けた場合など、現に食事療養に要した費用の額が標準負担額に満たない場合には、当該食事療養に要した費用の額を標準負担額として徴収すべき旨を明確化すること。
結論としては、通知にあるように「1食につき76円(食事療養に要した費用の額)を患者さんから徴収する」です。
どうしてこの結論になるのか書いていきます。
2.まずは入院時食事療養費と標準負担額について
入院中の食事療養に係る費用は健康保険等では次のように計算します。
(食事療養に要した費用の額)-(標準負担額)=(入院時食事療養費)
食事療養に要した費用の額のうち、医療機関は患者さんの負担額である標準負担額を超える金額を入院時食事療養費として保険請求することができます。
3.食事療養に要した費用の額が特別食加算の金額(1食76円)だけの場合
労災等で入院中に私病に対して特別食を提供した場合、食事療養の本体部分は労災等から給付さます。そのため健康保険等における食事療養に要した費用の額は特別食加算の金額(1食76円)だけになります。
標準負担額は最低でも1食につき100円なので、この場合に標準負担額を超える金額は0円です。
したがって、健康保険等に請求する金額は0円(健康保険等には請求しない)、患者さんに請求する金額が1食につき76円となります。
4. 実費(自由診療)として計上?
上の通知にあるように、特別食の費用は標準負担額として徴収して計上してください。
実費(自由診療)として計上しないでください。
何故かというと、標準負担額なら社会保険診療に係るため消費税が発生しないからです。
実費(自由診療)として計上すると、医療機関はその分の消費税を納めることになります。
5.まとめ
労災や自費(交通事故)で入院中に私病に対して特別食を提供する場合は、健康保険等における食事療養に要した費用の額が標準負担額を超えることはない。
したがって、健康保険等には特別食加算の費用を請求せず患者さんから1食につき76円を徴収する。
その際に特別食加算の費用は標準負担額として計上する。
退院時リハビリテーション指導料が減点査定
B006ー3 退院時リハビリテーション指導料が減点されてしまいました。
増減点事由は「D:前各号の外不適当又は不必要と認められるもの」。
具体的な減点理由は通知書に書いてないので、とりあえず算定要件やカルテを調べてみました。
算定要件を調べて分かったこと
疑義解釈資料の送付について(その15)(平成25年8月6日)より
(問7)B006-3退院時リハビリテーション指導料の留意事項に「退院日に1回に限り算定する。」とあるが、退院した後、同一医療機関へ再入院した場合や、他医療機関へ転医した場合であっても、算定要件を満たせば当該指導料を算定することができるのか。
(答)第1章第2部通則5の規定により入院期間が通算される再入院をした場合には、当該指導料を算定することはできない。
また、当該指導料の趣旨から、他医療機関への転医の場合には算定できない。
これだ!
カルテを調べて分かったこと
減点された患者さんの入退院日と退院時リハビリテーション指導料の算定は次の通りでした。
1月14日に退院。
退院日に退院時リハビリテーション指導料を算定。
↓
3月20日に前回と同一傷病により再入院。
(入院期間が通算される再入院)
↓
4月15日に退院。
退院日に退院時リハビリテーション指導料を算定。
この4月15日に算定の退院時リハビリテーション指導料が減点されてきました。
つまり
1回目の入院の際に退院時リハビリテーション指導料を算定していたのに、2回目の入院期間が通算される再入院でも退院時リハビリテーション指導料を算定していたため減点されたのです。
「退院日に1回に限り算定する。」とは、入院期間が通算される場合は退院が何度かあったとしても、1回しか算定できないということなんですね。